飛行機が欠航するかもしれない、と分かったときにいちばんやってはいけないのは「とりあえず自分でキャンセルする」ことです。航空会社が「欠航」または「影響が見込まれる便」と判断する前に自己都合で取り消すと、通常どおり取消料がかかり、そのあとに欠航が決まっても取消料は戻りません。この扱いは、JAL(ジャルパック国内ツアー)・ANA(航空券+宿泊)それぞれの公式案内に明記されています。
先にお断りしておくと、この記事で紹介するのは各社が公式に示している一般的な取り扱いの枠組みです。どの便を「影響が見込まれる便」に指定するか、特別対応をどの範囲に適用するかは、そのときの状況に応じて航空会社が便ごとに判断します。同じ台風でも、便・空港・時間帯によって扱いは分かれます。実際の手続きは、必ず自分が予約している会社の案内に従ってください。
この記事では、新千歳空港を発着する便が荒天で怪しくなったときに、「欠航が決まる前」と「決まった後」で何をすべきかを分けて整理します。往路・復路・乗り継ぎ便で変わる点、ツアーで申し込んでいる場合の扱い、そして数字の上で欠航が起きやすいのはいつなのかまで、公式情報と公的統計だけを根拠にまとめました。

結論:やることは「決まる前」と「決まった後」で正反対
| 状況 | やること | やってはいけないこと |
|---|---|---|
| 欠航が決まる前 (天候調査中・条件付き運航) |
航空会社が「影響が見込まれる便」に指定したかを確認する。指定されていれば手数料なしで変更・払戻ができる | 自己判断で取り消す(取消料がかかり、後から欠航しても返らない) |
| 欠航が決まった後 | 振替か払戻かを決めて、出発時刻前に手続きする。復路や乗継便も同時に処理する | 窓口の行列に並んで待つだけ(Webのほうが早いことが多い) |
つまり判断の分かれ目は「航空会社がその便を影響対象と認めたかどうか」の一点です。そして、その指定を行うのは利用者ではなく航空会社です。「この天気ならどうせ欠航になるはずだ」と先回りしても扱いは変わりません。まず公式画面で確認するところから始めます。

まず自分の便がどの状態かを確定させる
公式サイトの表示を見る
JALは「運航状況のご案内(国内線)」で、その日の悪天候にともなう遅延・欠航・出発空港への引き返し・他空港への着陸の可能性がある空港を地方別に公表しています。「◯時◯分現在」という基準時刻と、次回の案内予定時刻まで書かれているのが特徴で、いつ情報が更新されるかが分かります。
ANAは「運航状況のご案内」ページの発着案内で路線または便名を検索します(3日前〜2日後まで確認可能)。航空券+宿泊(ダイナミックパッケージ)利用者向けの案内によれば、検索結果の便名に「!」マークが付いていれば、その便が「悪天候による欠航・影響対象便」にあたります。
タイミングの目安として、同じ案内では運航に影響が予測される対象空港は運航日の2日前18:00頃に決定されるとされています。ただし、手数料なしの変更・払戻の対象かどうかはあくまで便単位です。発着空港が対象地域として挙がっていても、自分の便名が影響対象として表示されていなければ対象外です。空港名ではなく、必ず自分の便名で確認してください。ここを確認しないまま前倒しで取り消してしまうのが、いちばんもったいない動き方です。
一方でJAL(ジャルパック)の案内は、欠航・遅延の決定タイミングは一定ではなく、状況により出発間際に決まることもあるとしています。「◯日前に必ず分かる」と思い込まず、前日と当日朝の2回は運航状況を確認する前提でいてください。
いずれも、ニュース速報やSNSではなく航空会社の公式画面で確認するのが原則です。同じ日の同じ空港でも、機種や便によって扱いが変わることがあるためです。
「運航の見通し」に含まれないものがある
見落としやすい点として、JALの運航の見通しには機材故障や使用機材の到着遅れによる遅延・欠航、他社運航のコードシェア便の情報は含まれていません。天候が理由でなくても欠航は起きるので、自分の便の状態は最終的に発着情報検索で確認する必要があります。

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「条件付き運航」は欠航ではない
旅行会社の窓口でとくに多いのが「条件付き運航になったら全額返金されますか」という質問です。条件付き運航は、出発はするけれども、目的地の天候によっては出発空港へ引き返したり別の空港に着陸したりする可能性がある、という状態を指します。欠航ではありません。
JALの「欠航・遅延便検索」では、欠航・遅延・到着地変更・引き返し・天候調査中・条件付き運航がそれぞれ別の状態として検索できるようになっています。同じ検索結果で「*」が付いた便は欠航・遅延証明書の発行が可能とされており、勤務先や学校に提出が必要な場合はここから手続きします。
条件付き運航の便に乗るかどうかは自分で決めることになります。引き返しになっても、目的地には着かないのに旅程だけが1日消えるので、翌日以降に予定をずらせるならその場で振替を検討したほうが現実的です。

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欠航が決まったら:振替と払戻の原則
悪天候で運航に影響が出た便は、JAL・ANAとも手数料なしで変更(振替)または払戻を受け付けるのが公式の枠組みです。ただし、個々の便が対象になるかどうか、特別対応をいつからいつまで適用するかは航空会社の判断で、細かい条件も各社で違います。以下は2026年8月26日時点で各社の公式ページに記載されている内容の整理です。
JALの取り扱い
- 悪天候(台風・大雪)や自然災害などで運航に影響が見込まれる便は、手数料なしで搭乗予定便の変更および払戻を受け付ける
- 変更は航空券の種類にかかわらず1回のみ手数料なし。2回目以降の変更は各種航空券の運賃規則に準じる。ただし、変更した先の便がさらに欠航や条件付き運航などの影響対象になった場合は、その便を基準にあらためて変更の対象になります
- 旅行会社や旅行サイトで購入した航空券は、申し込んだ旅行会社に問い合わせる
ANAの取り扱い
- 悪天候で予約便が遅延・欠航した(する)場合、ANA便への変更または払戻を受け付ける。振替に手数料はかからず、運賃差額の収受・返金も行われない(プレミアムクラスからエコノミークラスへ変更した場合の差額のみ返金される)
- 遅延で対象になるのは原則30分以上の出発遅延便
- 手続きは遅延・欠航の決定以降、予約便の出発20分前まで。ウェブサイトでは20分前を過ぎると変更できない
- 振替の操作は予約便出発予定日の前々日から翌日まで、搭乗できるのは前日から翌日まで
- 振替後の便がまた遅延・欠航した場合は、再度の予約変更を受け付ける
- 払戻に取消手数料はかからないが、クレジットカードへの返金は目安として1〜2カ月程度かかる
つまりJAL・ANAとも、振り替えた先の便がまた影響対象になれば、そこからさらに変更できるという枠組みは共通です。荒天が数日続く場合でも、影響対象の指定が続いている限り、1回で打ち切られるわけではありません。
復路だけ欠航した場合・乗り継ぎがある場合
「行きは飛んだのに帰りだけ欠航した」というケースも窓口でよく聞かれます。ANAの公式案内では、遅延・欠航した便を振り替えることで乗継便や復路便の変更が必要になった場合、同様に変更できるとされています。ただし欠航した便の手続きと同時に行う必要があるので、後回しにしないでください。
払戻の場合は注意が要ります。同一予約に往復や乗り継ぎなど2区間以上が含まれていて一部区間だけを払い戻す場合は、残りのすべての区間に搭乗したあとでないと手続きできないとされています。
新千歳空港で国内線どうしを乗り継ぐ場合は、そもそも必要な乗り継ぎ時間の考え方が別にあります。新千歳空港の乗り継ぎは何分必要?出発口A〜Fと別切りの注意点にまとめました。
別切り航空券とLCCが弱い理由
行きと帰り、あるいは乗り継ぎ区間を別々の予約として買っている(別切り)場合、片方が欠航しても、もう片方の航空会社にとっては「自社便は正常に飛んでいる」という扱いになります。前の便の遅延で次の便に乗り遅れても、それは自己都合の乗り遅れとして処理されるのが基本です。JALの乗り継ぎ案内にも、連帯運送契約のない航空会社との組み合わせには乗り継ぎ時間の設定自体がないと明記されています。
LCCの場合は、そもそも自社便の本数が少なく、当日中の代替便が用意できないことがあります。冬や台風期に日程の余裕が少ない旅程を組むなら、同じ航空会社の1つの予約にまとめておくほうが、いざというときに動かせる選択肢が多くなります。
ツアー(航空券+宿)で申し込んでいる場合
パッケージツアーは航空券とは別のルールで動きます。多くの旅行会社が採用する標準旅行業約款では、天災地変や運送機関の旅行サービス提供の中止などにより「旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき」は、旅行開始前であれば取消料を支払うことなく契約を解除できると定められています。
旅行開始後についても、自分の責任ではない事情で記載されたサービスを受けられなくなった部分は、取消料なしで解除できるとされ、未提供分の費用から旅行会社が負担する取消料などを差し引いた額が払い戻されます。
では実務上、何をもって「該当する」とされるのか。多くの場合、旅行会社が天候を独自に評価するのではなく、「航空会社がその便を欠航・影響対象と認めたかどうか」を基準に取り扱いが決まります(一部例外はあり得ます)。つまりツアーで申し込んでいても、判断の軸は航空会社の指定です。台風が近づいているというだけで自動的に無料解除になるわけではないので、迷ったら自分で結論を出さず、申込先の旅行会社に確認してください。
ただし出発地に戻るための手配が必要になった場合、その費用は旅行者の負担と明記されています。飛行機が飛ばずに自力で帰ることになったときの交通費は自分持ちだと考えておいてください。
ツアーか個別手配かで、こうした「動かせなくなったとき」の扱いは大きく変わります。条件別の使い分けは北海道旅行はツアーと個別手配どっちが得?で整理しています。

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台風接近時、自分から先にキャンセルしていいのか
これが最も損をしやすい判断です。ANAの航空券+宿泊(ダイナミックパッケージ)向けの公式案内には、利用便が悪天候による欠航や影響対象便に該当しない場合、自分の判断で旅行を取り消すと通常どおり取消料が発生し、取消後に欠航などが決まっても取消料は返金できないと明記されています。出発後に日程短縮などを自分で手配した場合も、手配と費用は自己負担で、元の航空券・宿泊は権利放棄となり返金されないとされています。航空券単体でも、影響対象に指定されていない便を自己都合で取り消せば通常の取消手数料がかかるという構造は同じです。
したがって取るべき順番はこうなります。
- まず自分の便が影響対象に指定されたかを公式画面で確認する
- 指定されていれば、手数料なしの変更・払戻の枠内で動く
- まだ指定されていないなら、対象空港が決まる運航日の2日前18:00頃まで待つか、取消料を承知のうえで自分で決める
「まだ指定されていないが、どうしても予定を動かしたい」という場合は、取消料が発生することを理解したうえでの判断になります。ここを曖昧にしたまま先に取り消してしまうのが、いちばん多い失敗です。

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足止めされたときにやること
忘れられがちですが、悪天候による変更で発生した交通費や宿泊費は、航空会社の負担ではなく利用者の負担とされています。ANAの公式案内にその旨が明記されています。天候が理由の欠航は航空会社の責任ではない、という整理です。
したがって足止めが見えた時点で、振替の手続きと宿の確保を同時に進めるのが現実的です。順番としては次のようになります。
- 先に振替便を押さえる(席のほうが先に埋まるため)
- 振替便の日付が決まったら、その前夜の宿を取る
- 空港周辺が満室なら、札幌市内まで移動して探す
宿をどのサイトで探すかは北海道の宿・ホテル予約はどのサイトが得?にまとめています。年末年始のように、そもそも空室が少ない時期に重なった場合は年末年始の北海道旅行はいつ予約?の考え方が参考になります。

欠航が起きやすい時期は、数字ではどうなっているか
国土交通省は、特定本邦航空運送事業者(JAL・ANA・スカイマーク・AIRDO・Peachなど)の遅延率と欠航率を四半期ごとに公表しています。直近の4四半期は次のとおりです。
| 期間 | 欠航率 | 遅延率 |
|---|---|---|
| 2025年4〜6月 | 0.64% | 12.72% |
| 2025年7〜9月 | 1.19% | 19.70% |
| 2025年10〜12月 | 1.31% | 17.39% |
| 2026年1〜3月 | 1.77% | 17.15% |
欠航率がいちばん低いのは4〜6月で、いちばん高いのは1〜3月。その差は約2.8倍です。7〜9月も4〜6月の約1.9倍まで上がります。つまり台風期と厳冬期の年2回、欠航は増えるという体感は数字にも表れています。
ただしこの数値は全国・全路線をまとめた集計であり、新千歳路線だけの欠航率ではありません。国土交通省自身も、路線ごと・季節ごとに特性が異なるため単純比較には適さないとしたうえで、「夏期は沖縄路線等で台風の影響を受けやすく、冬季は北国等で積雪の影響を受けやすい」と注記しています。北海道路線は後者にあたります。
参考までに、同じ資料では羽田-新千歳が旅客数で全国1位の区間(2026年1〜3月で260万人)とされています。便数が多いぶん代替便を見つけやすい一方、荒天時には振替を求める人数も桁違いに多くなる区間だということです。

代替ルートという保険
新千歳が使えないときに、そもそも別の空港を使うという選択肢があります。旭川市の公式サイトによれば、旭川空港は万全の除雪体制により99%という高い就航率を掲げており、除雪車5台が連なって全長2,500mの滑走路の路面を維持しているとされています。北海道のほぼ中央に位置し、年間110万人が利用する空港です。
旅程の目的地が旭川・美瑛・富良野方面なら、最初から旭川空港発着で組むほうが冬は安定します。空港からの移動手段は旭川空港から旭川・美瑛・富良野への行き方にまとめました。
また、札幌に着ければよいのであれば、函館まで飛んでJRで北上するという迂回もあります。いずれにせよ、冬に予定を詰め込みすぎないことがいちばんの保険です。冬全体の混雑と予約の動き方は北海道の冬旅行はいつ予約する?で扱っています。
なお、着いたあとに自分で運転する予定なら、そもそも雪道を走るかどうかを先に決めておくと判断が早くなります。判断基準は北海道の雪道運転ガイドにまとめています。

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よくある質問
Q1. 条件付き運航になれば、欠航でなくても全額返金されますか?
条件付き運航は「出発するが、目的地の天候次第では引き返す・別の空港に降りる可能性がある」という状態で、欠航とは別の扱いです。ただし悪天候で運航に影響が見込まれる便として指定されていれば、手数料なしでの変更・払戻の対象になります。返金されるかどうかは「条件付き運航かどうか」ではなく「その便が影響対象に指定されているかどうか」で決まると考えてください。指定するかどうかは航空会社の判断で、状況によって当日変わることもあります。
Q2. 帰りの便だけ欠航しました。宿泊費は出ますか?
天候が理由の場合、変更にともなって発生した交通費・宿泊費は利用者の負担とされています。航空会社の公式案内に明記されている取り扱いです。振替便を押さえるのと同時に、その前夜の宿を自分で確保する前提で動いてください。
Q3. 乗り継ぎの片方だけ欠航したらどうなりますか?
同じ航空会社の1つの予約になっていれば、欠航した便の振替にあわせて乗継便や復路便もまとめて変更できます。ANAの公式案内では、欠航した便の変更と同時に手続きするよう明記されています。別々に買った「別切り」の場合はこの扱いにならず、飛んでいる側の便は自己都合の乗り遅れとして処理されるのが基本です。
Q4. 台風が近づいています。今のうちにキャンセルしたほうがいいですか?
その便がまだ影響対象に指定されていない段階で自分から取り消すと、通常どおり取消料がかかり、あとから欠航が決まっても取消料は返ってきません。まず公式画面で自分の便が指定されているかを確認するのが先です。ANAの航空券+宿泊向けの案内では、運航に影響が予測される対象空港は運航日の2日前18:00頃に決まるとされています(JALは決定タイミングが一定でないとしています)。指定を待てない事情があって先に取り消すなら、取消料が発生することを承知したうえでの判断になります。
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本記事の運航・約款に関する記述は、JAL・ANA・国土交通省・旅行会社の公式ページを2026年8月26日に確認した内容に基づいています。紹介したのは一般的な枠組みであり、個々の便・旅行への適用は最終的に航空会社・旅行会社の判断となります。取り扱い自体も変更されることがあるため、実際の手続きの前に必ず公式の最新情報をご確認ください。


